イシへ

久しぶりのお手紙です。
いや、この間東京で飲んだけど(笑)

あの時の話の続きでさ。
あの《着たくない服を着る》話。リクルートスーツもお受験スーツも喪服も一緒にしてしまっていたけど、それぞれ意味も自分の選択もいろいろあるから一緒にしちゃうと違うなと思ってね。
それぞれの服を着るシーンの主人公は誰なのか?それを無視しちゃうといけない。
そう考えるとその3つの服で主人公が自分なのはリクルートスーツだなと。なんか表現がうまくいかないんだけど、誰のために着ているのか?みたいな感じ。
リクルートスーツは着たことがないけど。

イシの小花柄のリクルートコーディネートの話がめっちゃ好きで、よく面接に来た就活生に話します。当時はもっとリクルートスーツへの圧は強かったと思うんだけど、パンストは履きたくない、小花柄のシャツで行きたいと思ったイシはちゃんと主人公だったんだろうなと思うと、いつもあなたは《自分が着たい服》と向き合っていて、それはあなたの生き方そのものなんだ。そう思います。
あの時の選択が、わたしたちが一緒に働いている今を作ってくれたのかも。そう思うと、就活生が『どうしたら就活に打ち勝つことができるのか』という問いに『好きなようにしたらいいんじゃないか』と伝えたくなる。だって、主人公はあなただから。

たかが服。
でも、人によっては、自分の思考そのものに見えることがある。
洋服に全く興味がない人と結婚して、彼の思考は服に表れないのかと思いきや、こだわりはちゃんとあって、動きやすいとか、脱ぎ着しやすいとか、朝、服選びに時間をかけたくないとか、そこには思考がある。スティーブ・ジョブズしかり。
たとえ、服なんてなんでも構わないという人にもそこに思考は必ずあるということを知りました。

あのあとね、やっぱりスカート丈が気になって渋谷の東急で喪服を買いました。今まで着ていた喪服はかわいい膝丈で、なんか着てみたけどしっくりこなかったの。慈しむ気持ちがそこには表れているのかと。通夜は突然やってくるから、そのまま故人へご挨拶にいく。そこまで考える暇もなく。でも通夜の前日にあの話をしてよく考えてみた。喪服はわたしをどうしてくれるのか。慈しんで、故人にご挨拶をする。感謝とか哀しみとかをそのままありのまま表してくれる服。大切な服だなぁと。

どんな服を着てもいい。
服に限らず、自分を押し殺してしまうようなことにはなるべくならないほうがいい。思うままに生きていける世の中になるといいなと心から思いました。

気づかせてくれたイシ、それからイシのお父さん。
ありがとう。

浅野より

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